
もグローブ座などを中心に「ハムレット」などの名作を生み出したわけでございますけれども、あれは完全な1つの地域芸術なんですね。ロンドンの地域芸術なんですね。そのときのアートマネージメントをみてみますと、シェークスピアの属していたグローブ座などは宮内大臣一座と言われているんですね。宮内大臣のパトロンというか、支援のもとに自立的な劇場経営をしていたということでございますから、後には宮内大臣一座から国王一座に格上げになって、かなり大きなバックアップを得ていた。しかし、シェークスピアは、お金が入りましてからは株主になり、スワン座の経営者にもなったりしているんですね。そういうふうなことで、芸術家がだんだんと自分自身のアートマネージメントをするようになってくるという段階があります。 それから、「企業のアートマネージメント」ということでございますが、これは現在の民間のコマーシャル劇場においてそうであるということでございます。 そして、いよいよ登場しますのが「行政のアートマネージメント」でございますが、とりわけ20世紀に入りましてから、公的な財政支援のもとに鑑賞型と創造型の公立文化施設というものが非常に普及してまいります。北海道におきましても、現在64館だそうでございますが、間もなく8館程度増設ということで、72館になるというようなことでございまして、最近とみに公立文化施設の拡充に伴いますところの行政のアートマネージメントが活発化しているわけでございます。 それらの背景となるものを、次の、3「世界的なトレンド」ということで考えてまいりますと、何といっても、まず1番目は「地方分権の進行」ということでございます。地方分権が進むだけ、地域の文化立地が非常に重要になってまいります。地域ならではの文化、それを核とした地方分権というものが分権の実質を担うであろうと思われます。 2番目「地球社会の、コミュニティヘの再分割」という方向が現在少しずつ進んできております。国家で分割するんじゃなくて、コミュニティーで分割していく。そしてコミュニティー同士が域際交流という形で全地球的なネットワークを張っていく。特に芸術や文化また科学技術の世界では、もうそういう方向にどんどん進んでいっております。 3番目は「地域文化を核とするコミュニティの再建」という大きな課題を全世界が背負ってきているということでございます。現代の世界の1つの不幸は、コミュニティが崩壊し、地域文化を喪失してきたところにあるとも言われているわけでございまして、地域文化を核としたコミュニティ、つまり日常生活圏の再建によって、地域というものの活性化を図っていく。例えば大都市においても、大都市を1単位と考えるんじゃなくて、札幌170
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